農地売却は難しい?許可申請や必要な費用についても解説

農地売却は難しい?許可申請や必要な費用についても解説

農地を売却する際は、一般的な宅地とは異なる法律や規制を理解し、適切な手続きを進めることが重要です。
特に農地法の制限によって売却先や用途に制約があるため、事前の確認が欠かせません。
また、売却の流れや費用を把握しておくことで、スムーズに取引を進めることができます。
この記事では、農地売却が難しい理由や具体的な売却方法、売却時にかかる費用について詳しく解説します。

農地が売却しづらいと言われる理由について

農地が売却しづらいと言われる理由について

農地の売却が難しい背景には、法的な制限と農地法の存在が大きく関わっています。
農地のまま売却する場合、農業従事者や農業法人など特定の資格を持つ者にしか売却できないうえ、売却には農業委員会の許可が必要です。
また、農地を他の用途に転用する際はさらに厳しい制限があり、市街化調整区域内の農地は転用が事実上不可能なケースもあります。
このように、多岐にわたる規制や許可手続きが売却を困難にしているのです。

制限

農地は農業生産の基盤であるため、食料自給率の維持や農業の継続を目的とした制限が多く設けられています。
特に、買い手に農業従事者や農業法人などの資格が求められることは、一般の方々が農地を取得しにくい要因です。
売却の際には、農業委員会の許可が必須とされ、厳格な審査を経る必要があります。
これらの制限や許可手続きの煩雑さが、売却までに時間を要する一因です。
また、農地を転用する場合にはさらに許可や制限が追加され、市街化調整区域内では用途変更がほぼ認められないこともあるため、売却の難易度が増します。

農地法

農地法は、農地を適正に利用し保全する目的で制定された法律です。
農地の売買や転用には厳しい規制が設けられており、所有権を移転する際には農業委員会の許可が必要とされます。
また、農地を農地以外の用途に転用する場合は都道府県知事の許可も求められ、転用後の利用目的や周辺農地への影響が詳細に審査されます。
これらの規制により、農地を無秩序に開発したり、農地が減少したりすることを防いでいる一方、売却や転用には手間と時間がかかるでしょう。
さらに、農地法は農地の所有者に適切な管理と利用を義務付けており、放置や不適切な利用には罰則が科される場合があります。
このように、厳格な規制と管理責任があるため、農地の売却や転用を検討する際には慎重な対応が必要です。

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農地売却の方法・流れについて

農地売却の方法・流れについて

農地の売却を検討している方は、方法や手続きの流れを理解することが大切です。
農地のまま売却するか、転用して売却するかによって必要な許可や手続きが異なります。
以下に、それぞれの方法と流れを解説します。

農地のまま売却する場合

農地をそのまま売却する際は、主な買い手として農業従事者や農業法人が想定されます。
この場合、農地法第3条に基づき、農業委員会の許可が必要です。
手順としては、まず買い手を見つけ、条件付きの売買契約を結びます。
その後、農業委員会に許可を申請し、認められれば正式な売買契約を締結したうえで、所有権移転手続きを行います。
一般的な期間は1〜3ヶ月ほどです。
なお、売却契約前に農地の境界や面積を正確に確定しておくことが重要で、測量の結果に応じてさらに契約内容を細かく調整するケースもあります。

農地を転用して売却する場合

農地を宅地や商業地に転用して売却する場合は、農地法第5条に基づく都道府県知事の許可が必要です。
基本的な流れは、買い手を見つけ、転用許可を条件とする売買契約を結び、農業委員会を通じて許可申請を行います。
許可が下りれば正式に売買契約を締結し、所有権移転手続きを進めます。
この手続きには通常2〜3ヶ月ほど要しますが、転用許可が下りるかは「立地基準」や「一般基準」といった条件次第です。
転用で購入者の範囲は広がる一方、手続きや費用も増えるため、あらかじめ十分な準備が必要です。

立地基準と一般基準

農地を転用するには、立地基準と一般基準の両方を満たさなければなりません。
立地基準では、農地が以下の5つに分類されます。

●農用地区域内農地:農業振興地域内で原則転用不可
●甲種農地:市街化調整区域内にあり、原則転用不可
●第1種農地:良好な営農条件を備えた農地で、原則転用不可
●第2種農地:市街地化が見込まれる地域にあり、条件次第で転用可
●第3種農地:市街地内にあり、原則転用可


一般基準では、転用後の利用目的や資金計画、関係権利者の同意などを重視します。
これらを満たしていても、災害リスクや周辺農地への影響が懸念されれば認められない場合があるため、事前に専門家や関係機関と相談し、準備を進めることが大切です。

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農地売却にかかる費用について

農地売却にかかる費用について

農地の売却を考える際、必要となる費用を正確に把握することが重要です。
主な費用には仲介手数料、税金、行政書士費用などがあります。
以下に、それぞれの費用について解説します。

仲介手数料

農地の売却を不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料が発生します。
これは、売買契約が成立した際の成功報酬で、一般的には下記のように算定されます。

●200万円以下の部分:取引物件価格×5%+消費税
●200万円を超え400万円以下の部分:取引物件価格×4%+消費税
●400万円を超える部分:取引物件価格×3%+消費税


例えば、売却価格600万円の場合は仲介手数料がおよそ24万円となります。
なお、仲介を介さずに個人間で取引する場合や、不動産会社が直接買い取る場合は仲介手数料はかかりません。
ちなみに、仲介手数料は法律で上限が定められているため、トラブルを避けるためにも事前に報酬額の内訳を確認しておくと安心です。

税金

農地の売却で譲渡所得が生じると、所得税や住民税が課税されます。
譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で求められ、取得費が不明な場合は売却価格の5%をみなし取得費とします。
税率は所有期間5年以下の短期譲渡所得が約39.63%、5年超の長期譲渡所得が約20.315%です。
一定の条件を満たすと特別控除が適用され、農地中間管理機構に売却する場合は最大1,500万円まで控除される可能性があります。
また、売買契約書には印紙税が課され、契約金額に応じて税額が異なります。
例えば、500万円超1,000万円以下の場合は1万円ですが、令和6年3月31日までは5,000円に軽減されます。

行政書士費用

農地売却や転用の許可申請は複雑なため、行政書士への依頼が一般的です。
行政書士への依頼費用は、農地売却許可申請で約5万円、転用許可申請は市街化区域内で約10万円、市街化調整区域では約15万円が目安です。
地域や事務所によって変動する場合もあります。
書類収集や作成が煩雑なため、専門家に任せると手続きをスムーズに進めやすくなります。
特に、転用許可申請では施設や建物の具体的な用途を詳細に示す必要があり、計画書類の作成には十分な時間と正確性が求められます。

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まとめ

農地を売却するには、農地法の規制を理解し、必要な手続きを踏むことが大切です。
売却をスムーズに進めるためには、立地基準や一般基準への適合を確認し、仲介手数料や税金、行政書士費用などのコストを把握しておく必要があります。
事前の準備と正確な情報収集により、円滑な売却が可能となるでしょう。


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