2024-07-14
総務省が公表している資料によると、空き家の数は昭和33年以降増加が続いており、現在は過去最高の数値になっています。
そこで、「空き家の増加」が大きな社会問題になっているのをご存じでしょうか。
この記事では、空き家問題とは何かのほか問題が起きている原因と対策も解説しますので、誰も住んでいない住宅を所有している方はお役立てください。
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親が亡くなったときに、相続などにより住宅を引き継ぐのは珍しくありません。
ただし、近年は引き継いだ住宅に誰も住まずに長い期間放置されるケースがあり、空き家問題を引き起こしています。
総務省では住宅・土地統計調査を5年に1回おこなっており、直近では2023年度に実施した結果の速報値を公表しています。
当該速報値によると総住宅数は約6,502万戸を数え、そのうち空き家が約900万戸で13.8%を占め、いずれも過去最大の数値です。
2018年度の調査と比べると、総住宅数は約261万戸増加し、空き家の数は51万戸増えているとともに総住宅数に占める割合も0.2ポイント上昇しています。
過去の調査をみると、1958年の総住宅数は約1,793.4万戸で現在は3.6倍を数えており、空き家の数は約36.0万戸で現在は25倍になっているのがわかります。
また、都道府県別の空き家率は、埼玉県が9.4%、神奈川県が9.8%、東京都が11.0%と低く、これらの首都圏よりも沖縄県が9.3%ともっとも低い点が特徴的です。
一方、和歌山県と徳島県は21.2%、山梨県が20.5%、鹿児島県が20.4%、高知県が20.3%、長野県が20.0%と高く地域によって大きな差があります。
なお、前回調査と比べると、埼玉県と神奈川県は1.0ポイント低下しているのに対し、大分県が2.3ポイント、北海道と秋田県が2.1ポイント上昇しています。
誰も住まない住宅が増加すると地域の活気が損なわれ、放置された建物が景観や安全面に悪影響を及ぼしかねません。
放置された建物は、空き家率が低い沖縄県や首都圏においても増加しており高齢化社会が進む日本全体の問題です。
団塊世代からの相続が進んでいる状況が、誰も住んでいない住宅の急速な増加につながっているのでしょう。
また、誰も住んでいない住宅が増えているだけではなく、所有者が建物の管理や活用について悩みを抱えている点が当該問題の大きなポイントです。
国は問題の解決に向けて、2015年に空き家等対策特別措置法を制定し各種の政策を施しており、地方自治体もさまざまな対策に取り組んでいます。
これまでに日本各地で未利用住宅の流通や再利用を促す施策を模索していますが、対応が追い付いていないのが実態です。
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この問題が起きている原因は1つではなく、さまざまな要素が組み合わさって起こっています。
総務省の資料によると日本の人口は2010年にピークを迎え、その後は減少を続けており、2024年5月1日現在の総人口(概算値)は1億2,393万人となっています。
2010年の総人口は、現在よりも413万人も多い1億2,806万人を数えていました。
また、国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した日本の将来人口推計では、2020年を基本とし、2070年には約7割に減少する可能性が示されています。
なお、65歳以上の人口は約4割を占めると推計されており、2022年現在の約3割と比べて高齢化が進む見込みです。
人口が減少すると住宅に入居する人数が減り、誰も住まない住宅が増えてしまいます。
さらに、自宅を所有する高齢者が老人ホームなどの高齢者施設や子どもの住宅などへ転居するのも、誰も住まない住宅が発生する原因の1つにあげられます。
今後、団塊の世代を含めた高齢者が増える傾向にあり、放置される住宅は急激に増加しかねません。
全国の空き家率は首都圏では低い反面、人口の少ない地方部で高い傾向にある点は、都市部への若者世代の集中が大きく影響していると考えられます。
子ども世代が都市部へ引っ越して生計を立て、数年後に親が亡くなって実家を相続しても遠方に住んでおり、誰も住まずに放置されるケースが多発しています。
利用しない住宅でも維持管理する必要がありますが、遠方にいると自らでは対応できないでしょう。
自らで作業できないときには、室内の清掃点検や周辺の草刈りなどを地元の管理会社へ依頼すると適正な管理をおこなってもらえます。
しかし、管理会社へ依頼するときに発生する費用負担を惜しみ、誰も手をかけずに老朽化した住宅が地域において問題化してしまう事例が後を絶たない状況です。
住宅には資産価値があるとともに解体するには工事費がかかり、不要になったとしても簡単には処分できません。
一方、結婚により家庭を持つときや広い住居への引っ越しなど、新しい住まいを求めて新築の家を建設するケースがあり、新築住宅の着工戸数は増加傾向にあります。
近年、新築住宅よりも安価で購入できる中古住宅の人気が高まっています。
しかし、中古住宅を購入してリフォームするには資金がかかり、購入後に不良箇所が発覚するかもしれません。
新築住宅の需要が増えている背景には、新しい建物は安心感が高く、借金して高い買い物をするうえで新築を選択する消費者心理が影響しているといえます。
古い住宅が壊されないのに対し多くの新しい住宅が建てられている状況は、今後も簡単には変わらないでしょう。
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国は、2015年に空き家等対策特別措置法を制定して問題の解決に取り組んでいます。
未利用の住宅を管理しないで放置していると、市区町村から指導を受ける可能性が高く注意しなければなりません。
先祖から引き継いだ思い出の詰まった実家を手放したくない気持ちは理解できます。
未利用にしている住宅を所有するのは違法ではなく、固定資産税を支払うとともに適正な管理をおこなえば問題は発生しません。
ただし、住宅は手入れを怠ると老朽化が早く進みやすく、雨風により損壊した箇所の修繕だけではなく室内の清掃や周囲の草刈りなどの維持管理をおこなう必要があります。
月に数回は状況を確認するとともに清掃作業などの時間と手間が負担になるほか、作業を管理会社に委託するときには費用がかかります。
ほとんどの問題は、適正な管理を怠り放置されている住宅で起きている状況です。
誰も住まない住宅を所有するときには、大きな負担を背負う覚悟を持つのがトラブルを発生させないうえでの大切な対策といえます。
固定資産税には、建物が建っている土地については、面積が200㎡までの部分について税額が6分の1に減額される特例制度があります。
利用しない住宅を解体すると、土地の固定資産税が6倍になってしまう点に注意しなければなりません。
一方、2015年に施行された空き家等対策特別措置法により特定空家に指定されたときには、固定資産税の特例が適用されなくなりました。
特定空家とは、市区町村から適正な管理がおこなわれていないと判断された住宅です。
したがって、誰も住まない住宅であっても、時間と手間をかけて維持管理を徹底する必要があるとともに固定資産税を支払わなければなりません。
何らかの事情により残しておきたいかもしれませんが、所有していると重荷になるため売却してしまうのが手っ取り早い対策といえます。
不動産会社へ依頼し、住宅の状況などに応じて解体したうえで土地だけを売却する方法もあります。
また、市町村のなかには空き家バンクを開設しているケースがあり相談してみると良いでしょう。
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利用する予定がない住宅を所有すると大きな負担を抱えるとともに大きなトラブルに発展するなどリスクを背負い、ストレスになってしまう可能性があります。
自らで維持管理をおこなう自信を持てないときには、売却によって手放すのを検討されてはいかがでしょうか。
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