2024-02-10
マイホームの売却で所得税などを納税する際は、新居にかかる費用の準備も必要なため、経済的な負担に感じるかもしれません。
そんな住み替えによるマイホームの売却時に検討したい節税対策の方法が、不動産の買換え特例です。
今回は、不動産の買換え特例とはどのような制度なのか、利用するための条件、利用した場合のメリット・デメリットについても解説します。
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不動産の売却時には、税金が控除される特例の制度が数種類あります。
そのなかでも、不動産の住み替えをする際に利用ができる「買換え特例」について解説します。
不動産を売却した際に、売却益が生じた場合は、翌年の確定申告で譲渡所得税を納税しなければなりません。
買換え特例とは、マイホームの売却によって納付が必要な譲渡所得税を、次の不動産売却時まで繰り延べることができる制度です。
あくまでも納付が保留されるだけなので、次の不動産売却時には、前回の譲渡所得税とまとめて支払うことになります。
たとえば、今回の売却で1,000万円の売却益が生じ、買換え特例を利用した場合、次の売却で2,000万円の売却益が生じたなら、前回と合わせた3,000万円分の売却益にかかる譲渡所得税を納税する必要があります。
そもそも買換え特例によって納付を先送りできる譲渡所得税とは、所得税・住民税・復興所得税の総称のことで、不動産売却で利益が生じた場合に支払う税金のことです。
そのため、不動産売却によって利益が生じなかった場合は、譲渡所得税を支払う必要もありません。
不動産売却によって得られる利益のことを譲渡所得と呼び、次の計算によって算出します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
売却益である譲渡所得は売却価格のことではなく、売却価格から不動産の購入費や売却した際にかかった仲介手数料などの費用を差し引いた金額のことです。
また、建物の取得費からは、建物の価値の減少分である減価償却費も差し引いて計算します。
上記の計算により譲渡所得が0円以下の場合は、譲渡所得税が課税されません。
また、譲渡所得が生じた場合でも、後ほどご紹介する3,000万円特別控除の特例を利用すれば、譲渡所得税が非課税になる可能性があります。
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買換え特例は、すべての不動産売却で利用できる訳ではありません。
買換え特例の利用を検討する場合は、適用される条件についても確認しておきましょう。
買換え特例が適用されるためには、売却する家に次のような条件が求められます。
●国内で自分自身が住んでいた家であること
●住まなくなってから3年以内に売却した家であること
●直近2年間に3,000万円特別控除など別の特例を利用していない
●売却価格が1億円以下であること
●10年以上居住した家であること
買換え特例が利用できるのは、本人が住んでいた家に限られ、家族だけが住んでいた家は適用されません。
また、10年以上住んでいた家が条件となるため、住んでいない期間がある場合は、その期間が除かれることに注意しましょう。
買換え特例を利用する場合は、新しく購入する家にも次のような条件が求められます。
●売却の前年1月1日から翌年の12月31日の3年の間に購入した国内の家であること
●建物の床面積が50㎡以上で土地は500㎡以下であること
●新耐震基準を満たしている物件
●耐火建築物の中古住宅の場合は、築25年以内の物件、または耐震住宅として証明されている
●非耐火建築物の中古住宅の場合は、築25年以内の物件、または耐震住宅として証明されている
上記のように、新居を購入する期限や面積、耐震基準など、新居にもいくつかの条件が設けられています。
買換え特例が適用される条件については、国税庁のホームページで確認することが可能です。
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不動産の住み替えで買換え特例を利用した場合、どのようなメリット・デメリットが生じるのか解説します。
不動産の買換え特例を利用する1つのメリットは、買い替え時に資金面の負担を減らせることです。
買い替え時には、新居での生活をスタートさせるために、引っ越し代や家具購入費用など、資金面で多くの負担がかかります。
引っ越しシーズンは、子どもの入学シーズンと重なることも多いため、教育費で資金が必要になるケースもあるでしょう。
そのような引っ越しで費用がかかる時期に税金の負担が減ることは、大きなメリットです。
2つ目のメリットは、買い替えた家を売却せずに住み続ければ、譲渡所得税を払わずに済むことです。
買換え特例は、譲渡所得税の支払いを先送りすることができる特例なので、売却しなければ払う必要がなくなります。
そのため、買い替えした家に一生住み続ける予定の方は、買換え特例を使うことが大きなメリットになるでしょう。
買換え特例は、あくまでも次の売却時に納税を先送りする特例のため、非課税や減税になる訳ではないことがデメリットです。
当初は一生住み続けようと考えていても、災害や事業の失敗など予期せぬ理由で売却を迫られる可能性もあります。
急な売却になれば、予定していなかった出費が生じ、経済的に負担を強いられることになるでしょう。
そのため、買換え特例を利用する場合は、将来売却する予定がない場合でも、譲渡所得税が非課税や減税される訳ではないことを把握しておくことが大切です。
買換え特例を利用する際は、他の特例と併用ができないこともデメリットです。
併用できない特例の制度には、次のようなものがあります。
●3,000万円特別控除:3,000万円までの売却益にかかる譲渡所得税が非課税になる
●軽減税率の特例:10年超のマイホームの売却益にかかる譲渡所得税の税率が減税される
●譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:売却損が生じたときに所得税が戻ってくる
●住宅ローン控除:住宅ローン残高の割合に応じて所得税が戻ってくる
上記のように、不動産売却では節税ができる特例がいくつかありますが、買換え特例との併用ができない場合があるので注意が必要です。
そのため、買換え特例を利用するかどうか検討する前に、これらの特例が併用や利用できるか調べることがおすすめです。
買換え特例は納税を先送りする制度ですが、上記の特例を利用すれば、減税や非課税になる場合もあります。
とくに、3,000万円特別控除の特例は、マイホームを売却したときに生じる売却益が3,000万円までが控除される大きな減税制度です。
夫婦の共有名義の家を売却する場合は、それぞれの特例を使って6,000万円の売却益が控除されます。
そのため、譲渡所得税の納税が必要な場合は、まずは3,000万円特別控除の特例が利用できるかどうか調べることがおすすめです。
3,000万円特別控除を利用できず、新居を売却する予定がない場合は、買換え特例を検討すると良いでしょう。
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不動産売却時の買換え特例とは、今回の売却で支払わなければならない譲渡所得税を、次の家の売却時まで先送りできる制度です。
買換え特例を利用するためには、10年以上自分で居住していたことなど、売却する家や新居にいくつかの条件が設けられています。
買換え特例を利用した場合は、3,000万円特別控除の特例やローン控除などの特例が併用できなくなることに注意しましょう。
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