2024-02-26
土地の売買において注意したいポイントの1つに「災害危険区域」があります。
災害が多発している昨今では、とくにこのポイントに留意して不動産取引をおこなったほうが良いでしょう。
そこで今回は、災害危険区域とは何か、移転促進区域や災害危険区域の解除と併せてご紹介します。
土地の売買をご検討中の方は、ぜひスムーズに取引するためのご参考にしてみてください。
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まずは、土地の売買で知っておきたい災害危険区域についてご紹介します。
建築基準法第39条に記載される災害危険区域とは、簡単に言えば、津波・高潮・洪水などの水害のリスクが著しく高いと自治体(都道府県または市町村)で判断したエリアのことです。
多くは地方公共団体(都道府県)の条例によって定められますが、内容やエリアの範囲は各自治体によって異なります。
災害危険区域に指定されると、住宅や福祉施設などの居住用の建築物の新築やリフォームが制限されます。
ただし、自治体が条例で規定する要件を満たせば、建築が可能なケースもあることを覚えておきましょう。
なお、居住用以外の店舗や事務所、工場などの事業用の建築物については、制限がかかりません。
そのため、居住用以外の建築物であれば、災害危険区域でも基本的に新築やリフォームをおこなうことが可能です。
災害危険区域に指定されたエリアに標識などが立つことはないため、自治体(おもに市町村)の窓口やインターネットで図面を閲覧することによって範囲を確認する必要があります。
災害危険区域に指定される土地は、自治体の判断によるため、一概には言えません。
しかし、次のような条件を満たす土地が指定されやすいでしょう。
●地震によって発生する津波のリスクが大きい
●台風や大雨によって発生する高潮、出水によるリスクが大きい
●がけ崩れ、土石流、地すべりなどのリスクが大きい
とくに以前に土砂災害や洪水、火山噴火、津波などの影響を受けたエリアで再来性があると判断された場合に指定されることが多いようです。
具体例を挙げると、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県、岩手県、宮城県の沿岸部37市町村の土地が災害指定区域に指定されています。
災害危険区域に指定された土地に居住していた場合でも、すぐに移転勧告を受けるようなことはありません。
指定される前から居住している土地であれば、指定後も住み続けることが可能です。
しかし、指定後の居住用建築物の新築・増築・改築はできないため、注意しましょう。
災害危険区域に指定された土地を売買する際は、その旨を重要事項説明書に記載のうえ、説明をおこなう必要があります。
宅地建物取引業者は、土地の利用制限などの条件についても調査し、適切に説明をおこなえるように準備します。
なお、先述したように災害危険区域に指定された土地は居住用として利用できないため、資産価値は下がってしまうでしょう。
そのため、事業利用者に販売したり、買取を検討したりすることをおすすめします。
土地を購入する際は、ハザードマップなどで災害の被害を受けやすいエリアかどうか、事前にしっかりと確認しておくことも大切です。
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次に、災害危険区域に指定された土地における防災集団移転促進事業や移転促進区域とは何か、ご紹介します。
防災集団移転促進事業とは、災害危険区域をはじめとする災害発生エリアでの集団的移転を促進する事業のことです。
自治体は居住者の災害によるリスクを考慮し、「移転促進区域」を指定します。
つまり、災害危険区域では自治体の判断で防災集団移転促進事業をおこない、移転促進区域を指定するケースがあることを覚えておきましょう。
移転促進区域に指定されたエリアで自治体が負担する経費の一部は、国が助成する仕組みです。
そのため、自治体は助成を受ける際に国土交通大臣と協議をおこないます。
これらを踏まえると、災害危険区域に土地を所有している場合、往々にしてそのまま住み続けるか助成を受けて移転するかの2つの選択肢があると言えます。
防災集団移転促進事業では、移転促進区域におけるどのような項目に対して助成金が支払われるのでしょうか。
●住宅団地の用地取得造成
●移転者の住宅建設や土地購入(借入金の利子相当額の負担)
●住宅団地の公共施設の整備
●移転促進区域内の土地(農地など)の買い取り
●移転者の住居移転にかかる費用
●住宅団地内の共同作業所
ここで言う住宅団地は、住戸数が10戸以上かつ移転住戸の半数以上が住宅団地に移転するとされる要件が満たされている必要があります。
支払われる助成金は、経費の4分の3です。
このように移転促進区域に指定されれば、上記の項目で助成を受けられる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
経済的な問題で移転を選択できないようなケースでは、選択肢を広げる意味でも大きな助けとなるため、情報を把握しておくことが大切です。
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最後に、災害危険区域に指定された土地が解除されることはあるのか、ご紹介します。
一定の土地が災害危険区域に指定された場合、原則として解除されることはありません。
もともと災害危険区域はほかの建築制限とは異なり、災害を予防する目的で指定されるため、期限に定めがないのです。
また、指定されるエリアにも定めがありません。
そのため、土地の所有者にとっては大きな利用制限がかかる制度であることを覚えておく必要があります。
先述したように自治体によって建築条件や禁止事項などが異なるため、まずは土地の所在地の市町村に問い合わせることが大切です。
建築基準法第84条では、災害復興のために建築制限をかける場合があることが記載されています。
都市計画または土地区画整理法による土地区画整理事業において必要であると判断されれば、1か月以内の期限を設け、建築の制限や禁止を命じることが可能です。
なお、この期限は1か月を超えない範囲で延長もできます。
しかし、災害危険区域のように永続的に制限がかかるわけではないほか、適用範囲が都市計画区域内に限定されます。
災害危険区域にかかる制限を守らなかった場合、罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。
建築基準法第106条において違反者に対して50万円以下の罰金を課すことができるとされています。
現在、条例違反に対して罰則を定めているのは、35府県、28市町村です。
所有する土地の自治体の罰則についても併せて確認しておくことをおすすめします。
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災害危険区域に指定された土地は、自治体によって異なる内容の建築制限を受け、原則としてそれが解除されることはありません。
そのため、災害危険区域に指定された場合は、自治体に内容を確認し、今後の対応についてしっかりと検討することが大切です。
被災エリアによっては防災集団移転促進事業によって助成を受けられるケースがあり、経済的な負担を軽減できるサポートがあることを覚えておきましょう。
災害危険区域にかかる条例とは別に街の復旧作業のため、期限付きで建築制限がかかる条例もあるため、所有する土地の所在地によっては注意が必要です。
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