2024-08-05
囲繞地(いにょうち)を所有しているなかで、売却を検討している方もいらっしゃるでしょう。
しかし、一般的な土地よりも売れにくいと聞くと、どうすれば売れるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
この記事では、囲繞地とはどのような特徴の土地なのか、売れにくいとされる理由や売る際のポイントをご紹介します。
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建築基準法では、建物の敷地に接道義務を課しており、要件を満たさない場合は建築できません。
しかし、建築してから周囲の敷地を売却や相続、分筆などによって手放すと接道要件を満たさない土地が生じるときもあります。
囲繞地とは、公道に接していない袋地(ふくろち)を取り囲む土地です。
相続や分筆などで接道要件を満たしている場所から次々と手放したのが囲繞地であり、周囲が他人名義の土地になってしまったのが袋地です。
敷地周辺が他人の土地になっているほか、河川や水路、海や崖などで囲まれた準袋地もあります。
袋地や準袋地は、周囲を取り囲んでいる他人の土地を通行しなければ道路へ到達できません。
この場合の道路とは、一般道に加え、私道も該当します。
袋地や準袋地の住人が公道に到達する目的で、周囲を取り囲んでいる土地の一部を通行する権利が、囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)です。
民法に通行する権利を規定しており、通路になる土地の所有者は拒否できないきまりになっています。
囲繞地通行権は、建築基準法に規定している接道義務を果たせなくなった土地の住人に対し、生命の危機に関わる事態への対応に支障をきたさないのが目的です。
建築基準法では、敷地の2m以上が4m以上の幅員の道路に接するのを、建築する際の要件に規定しています。
そのため、通行権を行使するための通路の幅は、2m以上必要です。
通路を設定するときは、土地の所有者に損害が生じない場所でなければなりませんし、広さを最小限の範囲にとどめる規定もあります。
また、分筆によって袋地になった場合は、分筆する前の土地以外には通路を設定できません。
民法の規定によって拒否できないとはいえ、周囲の土地の所有者は、通路によって土地の一部が利用できなくなります。
そこで、袋地の住人は土地の所有者に対して通行料を支払わなければなりません。
民法では支払い方法を年払いに規定していますが、金額の目安までは規定しておらず、双方の土地の所有者の話し合いで決定します。
近隣の囲繞地通行料を目安にしますが、物件が近くにない場合は、周辺の月極駐車場代を参考値にするのが一般的です。
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袋地を取り囲んでいる囲繞地は、建築基準法の接道要件を満たしていても、不動産関係者の間では売却しにくいと考えられています。
どうして売却しにくいのか理由を知り、販売戦略を立案する際に役立てましょう。
囲繞地通行権に基づいて、袋地の住人が敷地内の通路を使用するため、防犯面で不安に感じる方は購入しようとしません。
通路の利用を拒否できないうえ、通行するのは袋地の住人だけではないからです。
袋地を訪ねてきた親族や友人、事業者なども出入りする際には敷地内の通路を利用します。
通路の利用に制限を設定できないため、いつ誰が通行するかわからず、ストレスに感じる方も少なくありません。
接道要件を満たしていない袋地ほどではないにしても、囲繞地は相場よりも売却価格が安値になります。
周囲を建物が取り囲んでおり、風通しや日当たりが悪くなるため、買い手がつきにくくなるのが安値になる理由です。
そのうえ、通路があっても幅員が2m以下の袋地は、建て替えや大規模なリフォームができない再建築不可物件に該当します。
袋地の周囲にある物件は、道路に面している部分の風通しが良好であっても、袋地に面している側は風通しが良いとは限りません。
道路に面した側の日当たりが良い物件は、採光も確保できるため、売却価格への影響は軽微で済みます。
一方、袋地に面した側から日が差す場合は、建物があるため日が当たりません。
日当たりの悪い物件は人気がなく、売却価格が相場よりも安くなります。
袋地への進入路の有無にかかわらず、自宅の奥に他人の家がある敷地は、大規模工事が道路側からしかできません。
キッチンやお風呂などの水回りが袋地側にある場合、風通しや日当たりの悪さから劣化しやすくなる恐れがあります。
リフォーム工事をする際、工事関係車両が侵入できない場合は、作業員の手作業に頼らざるを得ません。
人件費の増大や工期の長期化を避けられず、一般的な工事よりも代金が高くなります。
工事代金が高額になる物件を売りに出しても、購入後にリフォームしたい方は、見向きもしない可能性が高いでしょう。
また、工事代金が高くなることを踏まえて、売却価格の値下げを要求されることがあるかもしれません。
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売り出しても買い手がつきにくい物件は、購入意欲の高い相手に相談してみると、売買契約が成立するときもあります。
不特定多数を相手にするより、交渉相手を絞り込んだ効率の良い売却活動にするのがポイントです。
袋地の所有者が通路を作りたいと相談してきたときは、対象になる土地を等価交換しないか相談してみましょう。
等価交換とは、価値が同程度の資産を交換する方法です。
同じ種類の資産を等価交換したときは、譲渡所得税の特例措置も利用できるのも利用する際のポイントになります。
袋地の所有者は、通行料の支払いが不要になるのがメリットです。
できれば、接道要件も満たしたいと考えているため、交換する土地の幅員は2m以上が目安になります。
等価交換によって取得する土地は、自分の所有する土地と隣接する場所の通路と同じ面積です。
防犯面に不安が残るときは、通路側に柵やガードなどを設置して、視線を遮る工夫が必要です。
所有する土地を現状のまま手放したいときは、囲繞地通行料を受け取りたい方に売却する方法を検討しましょう。
無料でないのなら、袋地の住人や関係者が通路を利用しても、通行料を受け取れるなら気にならない方もいます。
売却する前に、袋地の所有者と交渉する手間が省けるのが、この方法のポイントです。
袋地が空き家で所有者が遠くに住んでいるときなど、連絡が取りにくいケースにおすすめします。
不動産会社に仲介を依頼するときにターゲットを明確に伝え、販売戦略に反映できるようにするのがポイントです。
不特定多数に売り出す前に、購入する見込みの高い隣地の所有者に話を持ち掛けてみましょう。
隣地の所有者が購入すると、公道に接続するエリアに土地を広げられるメリットがあります。
公道に接続できると、購入する前から所有していた部分の資産価値が高まることもポイントです。
多くの方にとって魅力の少ない土地であっても、隣地の所有者は、相場よりも高値を提示されても購入したいと考えます。
時間と手間をかけても安値でしか取引が成立しない土地は、購入する見込みの高い隣地の所有者に売却することがおすすめです。
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囲繞地とは、分筆や相続などによって接道要件を満たせなくなった袋地を取り囲んでいる土地を指します。
民法の規定により、袋地の住人が公道までの土地を通行するのを拒否できないことが理由で、購入希望者が少ないかもしれません。
隣地や袋地の所有者は購入する見込みが高いため、一般に売り出す前に購入しないか相談してみましょう。
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