不動産売却の減価償却費とは?知っておくべき計算方法や注意点を解説

不動産売却の減価償却費とは?知っておくべき計算方法や注意点を解説

不動産売却を検討する中で、どういった支出や手続きが必要なのか分からず、お困りの方も少なくないでしょう。
そういった必要な支出や手続きを知らないと、トラブルに発展するかもしれません。
そこで、今回は不動産売却時に発生する減価償却費とは何か、その計算方法や注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

不動産売却時に発生する減価償却費とは

不動産売却時に発生する減価償却費とは

不動産の売却を検討する際、減価償却費の計算方法や確定申告の必要性を理解することは重要です。
これらは、譲渡所得税の計算に直接影響を及ぼすため、適切な知識が求められます。

減価償却費の計算方法

減価償却費とは、建物などの固定資産が時間の経過とともに価値が減少する分を、毎年一定の方法で費用として計上する会計処理です。
具体的には、建物の取得価額から耐用年数に応じた償却率を用いて計算されます。
たとえば、鉄筋コンクリート造の非事業用建物の場合、耐用年数は70年、償却率は0.015となります。
このように、建物の構造や用途によって耐用年数や償却率が異なるため、正確な計算が求めることが可能です。

減価償却の狙い

減価償却の目的は、資産の価値減少を適切に反映し、税務上の利益計算を正確におこなうことです。
建物は時間の経過とともに劣化し、その価値は減少します。
この減少分を毎年の費用として計上することで、実際の資産価値を財務諸表に反映させることができます。
また、減価償却費を計上することで、課税所得が減少して、結果的に税負担の軽減にもつながるでしょう。
ただし、減価償却費の計上方法や期間は税法で定められているため、適切な処理が必要です。

譲渡所得税との関係

不動産を売却した際の譲渡所得税の計算では、取得費から減価償却費を差し引いた金額が用いられます。
取得費とは、購入時の価格に関連費用を加えたものですが、減価償却費を控除することで、実際の資産価値を反映させることが可能です。
たとえば、購入価格が5000万円、減価償却費が1000万円の場合、取得費は4000万円となります。
この取得費を基に、売却価格との差額である譲渡所得が計算され、これに税率を適用して譲渡所得税を算出することができます。
したがって、減価償却費の正確な計算は、適切な税額の算出に不可欠です。
不動産売却に伴う税務手続きは、複雑な場合があるため、慎重に確認することが求められます。
不安な場合には、適切な情報収集と専門家への相談を通じて、正確な手続きをおこないましょう。

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不動産売却時に発生する減価償却費の計算方法

不動産売却時に発生する減価償却費の計算方法

ここでは、減価償却費の計算方法として一般的な定額法、経過年数、償却率にくわえて、確定申告が必要かを確認する方法についても解説します。

定額法

減価償却費の計算方法には定額法と定率法がありますが、ここでは定額法について解説します。
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法で、計算が比較的簡単であるため広く用いられています。
減価償却費 = 取得価額 × 償却率
取得価額とは、建物や設備の購入価格に付随費用を加えた金額を指します。
償却率は、資産の種類や耐用年数に応じて定められており、国税庁の定める耐用年数表を参照して確認します。
たとえば、耐用年数が20年の建物の場合、償却率は0.05(5%)です。
この場合、取得価額が2,000万円であれば、年間の減価償却費は2,000万円 × 0.05 = 100万円となります。
定額法は、毎年同額を計上するため、資産の価値が均等に減少する場合に適しています。

経過年数

減価償却費の計算において、経過年数は重要な要素です。
経過年数とは、資産を取得してから現在までの年数を指し、減価償却費の累計額を算出する際に用いられます。
たとえば、取得後5年が経過している場合、累計の減価償却費は年間の減価償却費に5を掛けた金額となります。
ただし、資産の耐用年数を超える期間については、減価償却費を計上することはできません。
また、資産の使用開始時期や事業年度の途中で取得した場合など、経過年数の計算には注意しましょう。

償却率

償却率は、減価償却費を計算する際に用いる割合で、資産の種類や耐用年数に応じて定められています。
国税庁が公表している耐用年数表を参照することで、各資産の償却率が確認可能です。
たとえば、木造の建物で耐用年数が22年の場合、定額法の償却率は0.046(4.6%)となります。
この償却率を取得価額に掛けることで、年間の減価償却費を算出します。
なお、定率法の場合は、未償却残高に償却率を掛けて計算するため、毎年の減価償却費が異なるので注意しましょう。

確定申告が必要かを確認する方法

不動産を売却した際、確定申告が必要かどうかは、譲渡所得の有無や金額によって判断されます。
譲渡所得は、売却価格から取得費、譲渡費用、特別控除額を差し引いた金額で計算されます。
取得費は、購入代金や購入時の諸費用、減価償却費の累計額が含んで算出された費用です。
譲渡費用には、仲介手数料や登記費用などが該当します。
特別控除として、居住用財産を売却した場合には3,000万円の特別控除が適用されることがあります。
これらを考慮し、譲渡所得がプラスであれば、確定申告をおこなわなくてはなりません。
また、譲渡所得がマイナスの場合でも、他の所得と損益通算をおこなうために、確定申告をおこなうことができます。
確定申告の要否については、国税庁のホームページや税理士に相談することで確認できます。

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不動産売却時に減価償却する際の注意点

不動産売薬時に減価償却する際の注意点

不動産の売却を検討する際、概算取得費の適用や譲渡損失の取り扱いについては、注意が必要です。
ここでは、それらのポイントについて解説します。

概算取得費

不動産を売却する際、取得費は譲渡所得の計算において重要な要素となります。
しかし、取得時の価格が不明な場合や、購入時の契約書を紛失してしまった場合、取得費を正確に算出することが難しくなります。
このような場合、税法上の特例として「概算取得費」を適用することが可能です。
概算取得費とは、譲渡収入金額の5%を取得費とみなす制度です。
たとえば、売却価格が5,000万円の場合、概算取得費は250万円(5,000万円×5%)となります。
ただし、概算取得費を適用する際には注意が必要です。
実際の取得費が譲渡収入金額の5%を上回る場合、実際の取得費を適用した方が譲渡所得が少なくなり、結果として税負担が軽減される可能性があります。
また、概算取得費を適用する場合、取得費に含まれるべき費用を別途控除することはできません。
これらの費用は取得費の一部とみなされるため、概算取得費を適用すると二重控除となり、税法上認められません。
したがって、概算取得費の適用を検討する際には、実際の取得費や関連費用を正確に把握し、どちらの方法が有利かを慎重に判断することが重要です。

譲渡損失

不動産の売却において、売却価格が取得費や譲渡費用を下回る場合、譲渡損失が発生します。
譲渡損失が生じた場合、その損失を他の所得と相殺(損益通算)することが可能です。
ただし、損益通算が認められるのは、一定の条件を満たす場合に限られます。
たとえば、居住用財産を売却した際の譲渡損失については、特定の要件を満たすことで、他の所得と損益通算が可能です。
具体的な要件としては、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていることや、売却価格が1億円以下であることなどが挙げられます。
また、譲渡損失が生じた場合でも、確定申告をおこなわなければ、損益通算の適用を受けることができません。
さらに、譲渡損失の金額が大きい場合、翌年以降に繰り越して控除することも可能です。
ただし、繰越控除を受けるためには、毎年確定申告をおこなう必要があります。
譲渡損失の取り扱いは、税法上複雑なため、適用要件や手続きについては、専門家に相談することをおすすめします。

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まとめ

減価償却費とは、建物などの固定資産が時間の経過とともに価値が減少する分を、毎年一定の方法で費用として計上する会計処理です。
減価償却費の計算方法には、定額法と定率法があり、一般的には定額法が用いられています。
この費用の計算は、税法上複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。


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